COMMENT
堤 真一 (ヴァン)
実は、このお話をいただく前に、すでに原作を読んでいて、この壮大な世界観が大好きでした。実写化は難しいだろうと想像していたので、こうやって関われたことが嬉しく、また、ご縁を感じましたね。アニメの声優は初めての経験で、慣れないことばかりで本当に難しかったです。ご迷惑をおかけしました。
物語は壮大なファンタジーですが、その中にリアルな部分もあるので、フィクションでありノンフィクションでもあるような内容だと思います。
私が演じたヴァンの運命は様々な出会いがあって動き出していきます。ユナとの出会いで息を吹き返し、愛情や感情を取り戻し、人のために生きる事の大切さを教えてくれるキャラクターだと思います。
原作がお好きな方も、読んだ事のない方にも楽しんでいただける作品です。是非、ご覧下さい。
竹内涼真 (ホッサル)
原作を読んだ時、頭に風景が浮かんできてすぐに物語に入り込んでしまいました。
僕の演じるホッサルは気持ちに一本筋が通っているので、何をして何を救いたいのか、その気持ちに感情移入しやすかったです。
アニメーションの声優は初めてだったので、自分の声で大丈夫かな?とドキドキする気持ちもありましたが、ホッサルのカッコいいビジュアルに負けないように声を作って演じることを意識しました。
原作のキャラクターそれぞれの持ち味が素敵なので、アニメ化された時のセリフやビジュアル、映像などすごい迫力になっていると思います。
「鹿の王」の壮大でファンタジーな世界観が皆様のもとに届くことが今から楽しみです。
(サエ)
上橋先生とは以前、まさに「鹿の王」で対談させていただき、その際にこの作品にかける情熱やこだわりをお伺いしたこともあり、私がキャスティングされた時は、とても嬉しかったけれど、まずは上橋先生がどう思うだろう、と上橋先生にお電話をして「本当に私で良いんですか!?」とお聞きしました。幸い、喜んでいただけてホッとしました。
サエは孤独な狩人の役で、戦闘のシーンも多く、声だけとはいえ実際に殺陣を習うように動きの指示を受けて録音しました。2 年前の収録段階では、まだ映像が完成していない状態でしたので、私も出来上がりを楽しみにしております。
この作品は、謎の病が流行し、それに立ち向かう人々の物語です。奇しくも、今の世情とも通じる部分が多い中、ファンタジーの世界を通して、私たちへのメッセージが込められているような気がします。
上橋菜穂子 (原作者)
「鹿の王」を書いていたとき、まさか、この物語が映画になり、パンデミックの最中に上映されるとは思ってもみませんでした。
暗く長いトンネルの中を歩むような日々の中で、この映画を観てくださった方々は、どんな思いを抱かれるでしょう。
「鹿の王」は長く複雑な物語です。映画化のお話が来たとき、私は制作陣が大変な思いをするのではと心配しました。
とくに、原作で私が描いた文化と医療、ウイルスと免疫、生態系の話などを二時間の枠の中で表現するのは困難だろうと思いましたが、皆さん、さすがに表現のプロで、「鹿の王」の物語の中の、「他者を思うことが生み出すもの」の方に集中してドラマを作ってくださいました。
更には、伝染病が発生したとき、不安から逃れようとする人の心が容易に差別を生んでしまうことも描いてくださいました。
大勢の他者と共に暮らすことは、感染の危険と共に暮らすことでもあります。
それでも、他者を思う気持ちが生きる喜びに繋がることを、素直に感じられる映画にしていただいたことに、私は心から感謝しています。